【民報サロン】自転車が好き

5月に入り、南会津の早朝も暖かく感じるようになってきました。天気の良い日は早起きのし甲斐があります。さっと着替えてパンを一切れ齧り、準備が出来たら出発です。大好きな自転車に乗って誰もいない峠道へ!

 自転車の中でも僕が好んで乗っているのはロードバイクと言われるものです。所謂ママチャリと呼ばれるものとは違い、長距離を早く走ることが出来る、スポーツ用の自転車です。平坦な道だと時速30キロ以上でも割と楽に走ることが出来る自転車なので、乗っていてとても気持ちが良いです。

日本国内では様々なタイプの自転車競技が行われていますが、ロードバイクを使ったレースの中に、ちょっと変わった競技があります。多くの方に馴染みのある競輪やオリンピック種目にもあるトラックレースやロードレースなどとは違い、ひたすら峠の坂道を上り続けてゴールを目指すのです。その競技は「ヒルクライムレース」と呼ばれています。

 そもそも僕は元から自転車に興味があった訳ではありませんでした。一昨年、ある飲み会に参加した時に、南会津に移住してきたばかりの自転車好きの方に自転車の面白さを説かれ、その気になって乗ってみたくなった僕は、その翌日の朝にはお借りしたロードバイクでその方と一緒に峠へ向かっていました。

ロードバイクは今まで乗ったことの無い、通常の自転車とは全く別の乗り物でした。サドルは高く、つま先が地面にギリギリ着くくらい。ハンドルは遠くて低いので前傾姿勢。タイヤは細く、バランスが取りにくい。こんなものを果たして自分は乗りこなせるのだろうかと最初は心配していました。一通り乗り方を教わると、向かう先は上り坂です。「まあ、普通に走っていれば大丈夫だろう」なんて甘い考えは坂を上り始めた直後に打ち砕かれました。物凄くきついんですこれが。昔運動部だったから、なんてのは全く意味を成さず、10年間ほとんど運動してこなかった自分には1キロの坂を上るのが精いっぱいで、こんなにきついのはもう無理だ!と挫けそうになっていましたが、「明日も走りましょう!」と明るく元気な声で言ってくるものですから断る事なんて出来ません。

翌日の練習でも坂を上りましたが、体が悲鳴を上げ、その後しばらく休む事に。これが僕とロードバイクとの出会いでした…。

 初めはそんな散々な状態でしたが、僕は今現在も楽しみながらロードバイクに乗っています。それはやはり自転車に乗ることでしか感じられないものがあることに気が付いたからです。風を切って走る心地良さ、場所や季節よって変わる草木の匂い、頑張って峠を上った後にあるご褒美の様な美しい景色。それらを一度でも体験してしまうと、また乗ってみたい!という気持ちが自然と湧いてきます。

ところで日常生活において、車での移動はとても便利ですが、「ちょっとそこまで」なら自転車を活用してみるのも良さそうです。皆さんもどうでしょうか。いつもと同じ場所でいつもと違った風景に出会えるかもしれませんよ。

注:この記事は2020年福島民報サロン掲載分を転載したものです。

 

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