こだわりのないお店

長年お店をやっていると、雑誌やテレビメディア等の取材を受けることもある。
商売をやっている身としてはとても有難い話なのだけれども、取材を受ける上で一つだけ悩ましい事がある。
それは、「お店のこだわり」だ。
小さな枠の掲載の際はそこまで聞かれないので良いのだけれど、しっかりとした取材の場合はそういう訳にはいかない様だ。

このお店を始めたきっかけは?
お店の内装でこだわりはありますか?
料理やコーヒーのこだわりを教えてください。
などなど、こちらとしては言葉に詰まるというか、わざわざ在りもしない所からそれらしいものを引っ張り出してくる様な状況になってしまう。
何かこの記事を書いてるだけでもやもやしてきた。
そもそもこだわりって何なのだろう?
辞書を引いてみた。

①心が何かにとらわれて,自由に考えることができなくなる。気にしなくてもいいようなことを気にする。拘泥する。 「金に-・る人」 「済んだことにいつまでも-・るな」
②普通は軽視されがちなことにまで好みを主張する。 「ビールの銘柄に-・る」
③物事がとどこおる。障る。 「脇差の鍔(つば)が横つ腹へ-・つていてえのだ/滑稽本・膝栗毛 6」
④他人からの働きかけをこばむ。なんくせをつける。 「達ておいとまを願ひ給へ共,郡司師高-・つて埒明けず/浄瑠璃・娥哥がるた」

 

なんだこれは、何一つ良いことが無いじゃないか。
むしろ経営にとっては邪魔だし、お客様にとっては何の意味も持たない、ただの店主の趣味じゃないか。
当店のおすすめは、心が何かにとらわれて、自由に考えられなくなり、気にしなくてもいいようなことを気にしているコーヒーです。
そんなことにならない様に、気を付けていかねばならない。
もし又取材を受けて、こだわりは何ですか?と聞かれたらこう答えよう。

 

「こだわらない様に気を付けています」と。

 

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