toggle
2018-04-30

ふつうのコーヒー

僕は深煎りのコーヒーが好きだ。
深煎りのコーヒーは日本人には馴染みのある味わいだと思う。
古くからある喫茶店では勿論の事、某有名コーヒーチェーンやコンビニなどでも美味しい深煎りコーヒーが提供されている。
どんな所が好きかと言うと、香ばしさや苦みの奥に感じる甘味、カラメル感、独特のブラウンシュガーの様な香りがたまらなく好きだ。

しかし近年は豆の品質が向上したためか、素材が持つフレーバーを活かした浅煎りのコーヒーが人気の様だ。
確かに浅煎りのコーヒーは豆が持つ本来の特徴を引き出し、フルーティーさやカカオ感などその豆が持つ個性を前面に押し出す事が出来るという意味ではとても魅力的だ。
僕のお店でもエスプレッソには浅煎りの豆を使っているし、たまにではあるが浅煎りの豆を仕入れてエアロプレスなどを使って提供もしている。
どちらもそれぞれに良い面があるので、人それぞれの好みによって深煎りか、浅煎りか、の様な議論が度々起こってしまうのも頷ける。

ところで先日、お客様に「ふつうのコーヒーをください」と言われた。
カフェ店員経験が浅い妻にとっては新鮮だった様で、ふつうのコーヒーって何だろう?とずっと言っていた。
僕もそう言われて困ることがあった様な気がするが、随分前の事なので忘れてしまった。
僕のお店での「ふつうのコーヒー」は定番のブレンドコーヒーの事を指す。
誰が決めたのかと言えば僕が勝手に決めた事で、特別お客様とそういう約束を交わしたわけでも何でもない。
「ふつうのコーヒーって何ですか?」と聞き返すような野暮な事はしないに越したことはないのだ。
ところが、これだけ浅煎りコーヒーが当たり前になり、多様で雑多なコーヒー文化になってくると、「ふつうのコーヒー」というオーダーが通用しなくなっていくのではないかと思った。

ふつうのコーヒーをオーダーして、エスプレッソが出てくるような事もお店によってはあるかもしれない。(イタリアみたいでそれはそれでカッコいいね)
または「当店にはふつうのコーヒーはございません。全て農園単位で徹底管理したシングルオリジンの香り高いコーヒーです。ミディアムローストからイタリアンローストまでご用意しております。また、抽出のための器具も10種類程用意してございます。貴方様のお好きな様にお選びいただけます。如何なさいますか?」
なんてお店が出てくるかもしれない。(もう有りそう)

とまあそんな訳で、コーヒー業界は多様化して選ぶ楽しみが増えたとも言える。
選ぶ必要が無い時代もそれはそれで楽チンだっただろうけど。
お店によって違う様々なコーヒーを、みなさんにも是非楽しんで欲しいと思う。

さて、コーヒーブレイク、という事でふつうのコーヒー飲もうっと。

 

 

タグ:
関連記事